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琴古流・都山流それぞれの違いとは?尺八の二大流派について解説!

公開日:2021/08/15   最終更新日:2021/08/17

尺八は艶やかで美しい音色を特徴に持つ、日本古来の和楽器です。ところで、尺八にはさまざまな流派があることをご存知ですか?今回は数多くの流派の中から、現代の尺八における二大流派「琴古流」と「都山流」について詳しく解説していきます。尺八に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

琴古流の歴史

「琴古流(きんこりゅう)」は江戸時代中期に活躍した黒澤琴古(1710~1771)を始祖とする尺八の流派の1つです。琴古流の歴史を紐解くには黒澤琴古について掘り下げる必要があります。

黒澤琴古は現在の福岡市にあたる黒田藩の藩士でしたが、浪人して虚無僧となり全国を行脚した人物です。のちに江戸へ出て普化宗両本山の尺八指南役を務めると、各地の虚無僧寺を巡り寺に伝わる尺八本曲を整理して、今日の琴古流本曲として30余曲をまとめました。

尺八の製作も行った黒澤琴古ですが、黒澤琴古自身は流派を名乗ることはしておらず、2世(1747~1781)のころに琴古流としての意識が確立したといわれています。黒澤琴古という名前は世襲により幕末の4世まで存続しました。その後、名前が途絶えた琴古流は久松風陽、吉田一調、荒木古童などの名手によって発展していき、現在に至ります。

なお、琴古流は大小いくつもの組織の総体であり、琴古流として統一した組織を持ってはいません。代表的な会派としては「鈴慕会」「童門会」「竹盟社」「竹友社」「国際尺八研修館」などが存在しています。

都山流の歴史

「都山流(とざんりゅう)」は明治時代に中尾都山(1876~1956)が立ち上げた尺八の流派の1つです。そこで、都山流の歴史を辿るうえで始祖である中尾都山の人物や経歴を追っていきましょう。

中尾都山は大阪の名手である近藤宗悦の影響を受け、虚無僧修行ののちに大阪市天満に道場を開いた人物です。尺八は江戸時代には虚無僧が独占し、演奏する曲も宗教的なものがほとんどでしたが、中尾都山は1903年(明治36年)の「慷月調」をはじめ、従来の古典尺八曲にはない「都山流本曲」を次々と作曲しました。

古典尺八曲は基本的には独奏曲でしたが、中尾都山は合奏曲の本曲という新しい分野も開拓し、その頃急速に広がりを見せていた新箏曲や新日本音楽の普及に貢献した存在として知られています。また、中尾都山は作曲だけではなく独自の記譜法による楽譜を出版したり、試験制度や評議員制度を取り入れた当時の尺八会にはない組織運営をしたりなど、さまざまな部分で革新的な試みを行っています。

以上のような試みにより、中尾都山は一代にして琴古流に並ぶ流派を築き上げてしまったのですから驚きです。そして現在に至るまで、都山流はすでに120年以上の歴史を誇る一大流派となっています。

琴古流・都山流それぞれの尺八の違

尺八の二大流派「琴古流」と「都山流」。同じ尺八に関する流派とはいえ、実はさまざまな部分が大きく異なります。では、この二つの流派には一体どんな違いがあるのでしょうか。

尺八の造り

実は琴古流と都山流では、まず尺八の造りに違いがあります。「歌口(吹き口)」部分は息を当てる箇所に水牛の角や象牙、鹿の角などがはめ込まれているのですが、よく見ると形状が異なることがわかるでしょう。なお、歌口の形に関しては流派の印であり、音色の違いはありません。

また、琴古流の尺八は裏穴(5孔)の位置が都山流と比べてやや高く造られています。こちらについては奏でられる音に違いが出る部分で、琴古流は音色重視、都山流は音程のバランス重視の造りとなっています。

楽譜

楽譜に関しては一目見ただけで琴古流と都山流、どちらの流派なのかを見分けることが可能です。江戸時代から続く琴古流は字体に独特の趣があり、慣れるまでに時間を要する人が多いといわれます。一方、都山流の楽譜は明治時代に入ってから創始された流派であるためか、小節で区切られているなど琴古流に比べて見やすいという意見が多く聞かれます。

演奏

琴古流と都山流では向いている演奏に違いがあります。琴古流は独自の演奏技法により西洋楽器にはない響きを持っていることから独奏・古典の演奏に向いており、対する都山流は音程のバランスから明治以降の現代曲を演奏することや西洋楽器との合奏に向いているといわれます。

人口

琴古流と都山流では吹奏人口にも違いがあります。琴古流は現代では吹奏人口が少なく、それゆえ希少価値が高い流派です。一方の都山流は吹奏人口が多いため、習いたい場合に先生を探しやすい流派といえます。

師範のなり方

尺八の流派で師範になりたいと考える場合、琴古流と都山流ではなり方に違いがあります。琴古流は師匠の判断で免状を発行する組織が多く、基本的には試験がありません。対する都山流は組織の規模が大きいこともあり師範になるためには試験があります。

このように、琴古流と都山流には尺八自体の造りから向いている演奏、師範のなり方までさまざまな違いがあります。二つの流派で迷う際には、違いを見極めたうえで自分に合う方を選ぶとよいでしょう。

 

今回は現代の尺八における二大流派「琴古流」と「都山流」について詳しく解説しました。各流派が持つ歴史や、それぞれの流派の違いに注目することで、日本古来の和楽器である尺八のことを深く知ることができて親しみやすくなりますね。

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