尺八が壊れてしまった…売る前に修理できないか確認してみよう!
尺八は天然の竹で作られていることから「乾燥」に弱く、管理方法を間違えてしまうとすぐに壊れてしまうなんてことも少なくありません。壊れてしまった尺八を売りに出す前に、何とか修理できないかと考える人も多いかと思われます。そこで、今回は尺八の修理費用や修理にかかるおおよその費用相場についてご紹介していきます。
尺八は修理すればいつまでも使える
尺八は一度壊れてしまったら二度と吹けなくなってしまうわけではありません。竹と漆などの天然素材から作られているため、きちんと修理を行えば何度でも使い続けることができます。本体の割れから音律の調整などあらゆる部分が修正可能であり、バラバラに砕け散ったなどよっぽどの事でない限り、直せないところはありません。
さらに、場合によっては修復を行った上で、楽器としての性能を向上させることも可能であり、工芸品としての価値や嗜好もさらに高めることができます。「尺八の調子が悪いけど、原因が分からずどこを直してもらったらいいのか分からない」という場合にも、プロの業者に修理について相談することによって、壊れた原因と修理箇所を導き出してくれることでしょう。
修理できる項目・修理方法
尺八が壊れて使えなくなってしまう主な原因は「本体の割れやキズ」「歌口部分のかけ」「中継ぎ部分のぐらつき・ゆるみ」「漆の剥離」「音律の乱れ」などさまざまです。
そこで、使用頻度にもよりますがとくに壊れる可能性が高い本体・歌口部分・中継ぎ部分の修理方法についてご紹介していきます。
■尺八本体の割れ・キズの修理方法
尺八本体のひび割れ修理を行う際には、まず割れた箇所に水で濡らしたタオルを巻いておき、竹を膨張させて割れ目が一旦塞がった状態にしてから修理を行います。最終的には籐(とう)を巻いて、割れ目が開かないようにしっかりと絞めて完了です。具体的なひび割れの修理手順については以下の通りです。
・修理する箇所と幅を決めて竹に切り込みを入れる
・専用の道具を使って溝を掘っていく
・やすりを使って溝の底をなめらかにする
・絞め糸を強く巻き付ける
・籐を巻く余裕を残しつつ、漆と砥粉を混ぜた「地」を入れて平らにしていく
・地が乾いたら籐を巻く
基本的には竹表面を糸の厚み分凹ませ、切込み糸で絞めていき、漆で塗り固めて表面を籐巻で化粧し、竹肌と一体に仕上げていきます。
■歌口部分の修理方法
尺八は吹き続けていると、歌口の部分が欠けてしまうことがあります。しかし、ほとんどの場合であれば修復可能であるため安心してください。歌口部分は先端が非常に薄く作られているため、うっかり角に当たってしまったり、軽くぶつけたりした程度の衝撃でかけてしまうことも少なくありません。歌口が欠けてしまった際には、欠損部分を直すのではなく、歌口部分を交換して修復を行います。
古い尺八の場合、歌口の接着剤が弱まっているため、比較的簡単に取り外すことが可能です。しかし、近年では強力な接着剤が使用されているものも多いため、まず欠けてしまった歌口の方を先に砕いて取り除き、その後から新しい歌口をはめ込む方法が一般的です。また、以前と違う歌口の型に入れ替えると跡が残るといわれています。
■中継ぎ部分の修理方法
尺八を長年使い続けていると、中継ぎの接合部分が緩くなってしまうケースも多いです。中継ぎ部分が緩くなってしまうと、上菅と下菅のフィット感が悪くなってグラグラと揺らついてしまうため、このような場合には修理が必要になってきます。中継ぎの修理を行う際には、基本的にはプロの業者や製管師に依頼するのがおすすめです。
中継ぎ部分にラップやセロテープなどを巻いて対策を行う方も中にはいますが、せいぜい気休め程度にしかならないでしょう。尺八は日ごろから丁寧にメンテナンスを行っていれば長く使い続けることができますが、一般の方が中継ぎ部分の修理を行うのは難しいため、プロに修理を依頼するのが確実です。
尺八の修理にかかる費用
尺八の修理によってかかる費用は、修理内容(修理箇所)によって異なるため、一概に「この値段」と決めるのは難しいです。
そこで、修理内容ごとの費用相場についてご紹介していきます。各修理内容における大まかな費用の相場については以下の通りです。
・割れ巻(割れ修理)1箇所:約3,000~5,000円
・歌口部分の交換(歌口修理):約1万円~
・中継ぎ部分のゆるみ(中継ぎ修理):約5,000円~
・音律の調整:約1万5,000円~
なお、修理を依頼する業者によって価格が大きく前後することもあるため、あくまで参考程度にとどめておいてください。また、歌口については交換に使用する歌口の素材によって値段が変わってきます。
この記事では、尺八が壊れてしまった際の主な修理方法や内容、修理にかかる大まかな費用相場についてご紹介しました。尺八は繊細な楽器であるため、どれだけ大切に扱っていたとしても、いつかは壊れてしまうものです。しかし、適切な修理を施すことによって何度も使い続けることができるため、尺八が壊れてしまった際には、一度プロの業者に相談してみることをおすすめします。